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(推薦文)
友人たちとの懇親会で東京に行った時、時間が余っていたため三越デパートによった。そこではオードリー・ヘップバーンの展覧会が開かれていた。
僕は大学時代映画研究会にいた。その頃はただ問題作をどれだけ見ているか、あるいはどんな解釈を加えることができるか、今から考えればそんなばかばかしいことに血道をあげていた。当然オードリー・ヘップバーンの主演作などは見ようともしなかった。
読む雑誌はスクリーンとかロードショウなどではなかった。キネマ旬報というマニアックな雑誌だった。そして自主上映と称して選んだものは、大島渚や黒沢明の作品、はては水俣病や成田空港反対闘争のドキュメンタリーといったものだった。そんな難解なものや問題作を知っている事がプライドともいえた。
四十代になり仕事が忙しくなると、ようやく僕は過去のマニアとしての呪縛から開放されるようになった。そしてなんの先入観もなく見てみると、その作品はなかなか印象深いものだった。
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